長野県石油商業組合に加盟するガソリンスタンド(GS)事業者のカルテル疑惑を受け、長野県と同県警本部が、組合加盟事業者でつくる団体と結んでいた随意契約を2024年度末で解消したことがわかった。
公用車やパトカーなどの給油について一律の価格で購入する契約だったが、「県民の理解を得られない」(阿部守一知事)として25年度は調達先を入札などで決める運用に切り替えた。
県は24年度、県警は21年度からそれぞれ県石油商業組合の加盟事業者でつくる県石油協同組合と随意契約を結び、専用カードを使って組合加盟のGSで給油していた。代金は毎月まとめて払う仕組みだった。組合との随意契約は打ち切るものの、組合加盟の事業者が入札に参加することはできるという。
県石油協同組合は国の「官公需適格組合」に認定されている。国の認定で中小事業者の信用力を補完し、自治体などと契約しやすくする制度だ。
阿部知事は18日の記者会見で随意契約を見直した理由を「疑惑の払拭(ふっしょく)が必ずしもおこなわれていない中で県民の皆さんの理解を得られない」と説明。県石油商業組合が第三者委員会を設けて疑惑の調査に動き出したことは「前向きに受け止めている」と評価しつつ、再び組合と契約を結ぶ可能性については「まずは自主的な努力をしっかり見極めたい」と述べるにとどめた。
県警会計課によると、協同組合との契約のしくみを利用していたのはパトカー、バイクなどの車両計約1400台。24年度の購入実績はレギュラーガソリンが約119万リットルで約2億1300万円、軽油が約10万8千リットルで約1700万円だった。県の実績は「算定中」(県契約・検査課)だが、対象車両は100台弱という。